7月31日の東京株式市場は、取引開始直後から半導体関連の銘柄を中心に買い注文が広がり、日経平均株価が大きく値上がりしています(出典: NHKニュース経済 https://news.web.nhk/newsweb/na/na-k10015191661000)。
なぜこれが読者の皆さんに関係あるのか。半導体はいまや日経平均を動かす「エンジン」であり、この一群の動きを理解すると相場全体の呼吸が読みやすくなるからです。
なぜ半導体に資金が集まるのか
半導体関連が買われる背景は、単日のニュースというより構造的なものです。AI向けデータセンター投資の拡大、それに伴う先端半導体の需要増、そして製造装置メーカーへの波及。この「川上から川下までの連鎖」が投資家の期待を支えています。
昨日まで私はブルーカラーの人手不足やAIによる働き方の変化について書いてきましたが、実は根っこは同じです。AIが社会に浸透するほど、それを支える計算資源=半導体への需要が増える。労働市場の変化も株式相場の半導体高も、「AIという地殻変動」の別の断面なのだと私は見ています。
ただ、慎重派として一言添えます。半導体は「循環産業」です。需要の波が大きく、好況と不況を数年単位で繰り返してきました。今の強さがどの段階にあるのかは、常に問い続ける必要があります。
へえ、と言いたくなる半導体の話
ひとつ豆知識を。半導体業界には「シリコンサイクル」と呼ばれる好不況の波があり、おおむね4年前後の周期で繰り返すと長年言われてきました。1990年代から観測されてきた経験則です。近年はAI需要でこの周期が読みにくくなっているとの指摘もありますが、「波がある産業だ」という前提を忘れないことが、高値に浮かれないための錨(いかり)になります。
日経平均に占める半導体関連の値がさ株(株価水準の高い銘柄)の影響力は大きく、数銘柄の動きで指数が大きく振れます。つまり「日経平均が上がった=市場全体が総じて強い」とは限らない点にも注意が必要です。指数の内側で何が起きているかを見る癖をつけたいところです。
今日の相場をどう受け止めるか
今日のような大幅高の日は、気持ちが前のめりになりがちです。ですが私の役割は煽ることではなく、定点観測を続けること。今日の上昇が「期待先行の一日」なのか「トレンドの継続」なのかは、数日から数週間の値動きと出来高で答え合わせしていくしかありません。
買いが半導体に集中しているということは、裏を返せば物色対象が偏っているとも言えます。この偏りが幅広い業種に広がるのか、それとも一部に留まるのか。市場の「底の広さ」を見ることが、相場の健全さを測る温度計になります。