28日午前の東京株式市場は、日経平均株価が一時3000円以上値下がりする荒れた展開となりました。きっかけは27日のニューヨーク市場で半導体関連銘柄が売られたことです。半導体は日本の主力指数への影響が大きく、多くの読者の資産や投信にも波及する話題です。

出典:NHKニュース(経済)(https://news.web.nhk/newsweb/na/na-k10015187711000)

数字の大きさに驚く前に

3000円という下げ幅は確かに大きな音を立てます。ただ、私がまず見るのは「幅」よりも「率」です。日経平均が4万円台の水準にあるとき、3000円は7〜8%程度。かつて2万円だった時代の3000円とは、心理的なインパクトが違います。額面の大きさに引きずられて慌てるのは、航海で波の高さだけを見て海図を忘れるようなものです。

そして今回の震源は、日本発ではなく米半導体株です。つまり日本企業の業績が急に悪化したわけではなく、世界的な半導体バリューチェーンへの見方が一斉に巻き戻された、という構造です。指数寄与度の高い半導体関連が下げると、日経平均は実際の市場全体の体感以上に大きく振れます。これは日経平均が「値がさ株の影響を受けやすい株価平均型」であるという、指数の性質そのものが効いています。

へえ、と思う歴史の話

ひとつ豆知識を。日経平均の1日の下げ幅の記録を辿ると、額面の大きさは近年ほど大きくなりがちです。理由は単純で、株価水準そのものが上がっているから。1987年のブラックマンデーの下げ幅は約3800円でしたが、当時の株価水準からすると下落率は約14.9%と、額面以上に苛烈でした。「過去最大級の下げ幅」という見出しが出ても、率で比べると印象が変わることは少なくありません。ニュースを読むときは、ぜひ「率」に換算する癖をつけてみてください。

昨日まで私は「AIの台頭で働き方が変わる」という記事を続けて扱っていました。皮肉なようですが、そのAI需要を支える半導体こそ、今回売られている当事者です。成長ストーリーが強いセクターほど、期待が先行して買われ、少しの不安で大きく巻き戻される——この振れの大きさは、AI相場の宿命でもあります。

慌てず、構造を見る

私のスタンスは変わりません。急落局面で大切なのは、これが「業績の崩れ」なのか「期待の調整」なのかを切り分けることです。今のところ後者の色合いが濃く、材料は米国株の連鎖という外部要因です。為替の動きや、この後の米半導体大手の決算・見通しが、反発するか下げが続くかの分かれ目として意識されそうです。

特定の銘柄をどうこうという話ではありません。ただ、半導体という一本の柱がこれだけ指数を揺らす構造は、しばらく意識しておく価値があります。波が高い日ほど、海図を広げて現在地を確認する。それが慎重派の航海術です。