TOPIX(東証株価指数)が連続で最高値圏を更新しています。一方で日経平均やナスダックはAI・半導体関連株の値動きに大きく左右される展開。同じ「日本株」でも、どの指数を見るかで景色がかなり違って見える局面です。今日はこの「主導役の交代」を一緒に確認しておきましょう。
参照元は東洋経済オンライン「『イラン紛争』の出口はまったく見えないが、日本株はしばらく『TOPIX主導』の相場が続きそうだ」(https://toyokeizai.net/articles/-/954958 )です。
日経平均とTOPIXは「別の乗り物」
まず整理を。日経平均は225銘柄の「株価」を平均する指数で、値がさ株(1株の株価が高い銘柄)の影響を強く受けます。半導体関連の一部銘柄が動くと、指数全体が大きく揺れるのはこのためです。対してTOPIXは東証プライム全体を時価総額で加重した指数。つまり日経平均が「一部のスター選手で決まる試合」だとすれば、TOPIXは「チーム全体の底力」を映す指標です。
そのTOPIXが最高値圏にあるということは、半導体などの派手な主役だけでなく、金融・素材・内需といった幅広い銘柄が同時に評価されている、と読めます。相場の裾野が広がっている状態、と言い換えてもよいでしょう。私はこれを、局地的な晴れ間ではなく、空全体が明るくなってきた天候だと捉えています。
「へえ」な豆知識:TOPIXは1968年が起点
ここで一つ豆知識を。TOPIXは1968年1月4日の時価総額を100として計算されています。半世紀以上前の水準を基準に、今の市場全体が何倍になったかを示す物差しなのです。日経平均が特定銘柄の「株価の合計感」を表すのに対し、TOPIXは「日本企業全体の値付けの歴史」を1本の線で引き継いでいる。だからこそTOPIXの最高値は、日本株全体の構造的な評価が上がってきた証しとして、私は重く見ています。
昨日までのAI・雇用の話題では「なくならない仕事」に触れましたが、株式市場の側でも似た構図があります。派手なAI・半導体という主役だけでなく、地味でも収益を積み上げる企業群が全体を支えている。この「底力の広がり」こそ、今のTOPIX主導を裏付けている部分だと考えています。
慎重に見ておきたい逆風
もっとも、空全体が明るいからといって嵐が来ないわけではありません。中東情勢は出口が見えず、原油高は輸入コストや物価に波及します。日銀の追加利上げ観測、為替の振れも、企業業績の追い風・向かい風を入れ替える要因です。特にTOPIXは金融株の比率が相応にあり、金利観の変化に敏感な面があります。
堅調な企業業績が下支えという評価には私も同意しますが、指数が広く上がっているときほど、次に「どのセクターが息切れするか」を点検しておきたいところ。全員が同じ方向を向いている凪の海ほど、風向きが変わったときの反応が大きいものです。特定銘柄の売買を勧めることはしませんが、「主役が広がっている相場」という構造は材料として意識しておく価値があると見ています。