7月以降に大幅調整した日本株が、好調な企業業績を背景に息を吹き返し、秋にも高値へ再トライする可能性がある――。東洋経済オンラインがそんな見立てを報じています。牽引役として挙がるのは、自動車・銀行・IP関連、そして底入れが意識される半導体。今日は、この「出遅れ銘柄の逆襲」というテーマを、少し冷静な目線で読み解いてみます。

参照元:東洋経済オンライン

「出遅れ」は本当にチャンスなのか

まず私の解釈を先に述べます。「出遅れ銘柄が上がる」という発想そのものは、相場が上昇トレンドを維持している局面では機能しやすい戦略です。物色の順番が主力株から周辺へと広がる、いわゆるセクターローテーションが起きるからですね。

ただ、ここで注意したいのは「出遅れているには出遅れているなりの理由がある」場合もあるということです。単に見過ごされているのか、それとも構造的に買われにくいのか。ここを混同すると、安いと思って拾ったものがそのまま安いまま、ということになりかねません。航海でたとえるなら、波に乗り遅れた船が追いつくのか、そもそも別の海流に取り残されているのか、を見極める必要があります。

自動車・銀行・半導体、それぞれの温度感

記事が挙げるセクターを私なりに整理すると、性格がかなり異なります。

自動車は、為替(円安・円高)の影響を強く受ける輸出型。関税や米国市場の動向という外部要因が重くのしかかる一方、それゆえに「悪材料が出尽くせば戻りも早い」性格を持ちます。

銀行は、日銀の金融政策が最大の材料。利上げ観測が高まれば利ザヤ改善期待で買われやすい構造です。ここは金利という「追い風の向き」がはっきりしているぶん、読みやすいセクターと言えます。

半導体は「底入れ」という言葉が象徴的です。半導体には昔から「シリコンサイクル」と呼ばれる好不況の波があり、おおむね数年周期で需給が振れることが知られています。へえ、と思うのは、この波は1970年代から観測されてきた息の長い経験則だという点。今回もサイクルの谷から上りに転じるのか、が焦点になります。

業績相場という土台

そもそも今回の見立ての土台は「好調な企業業績」です。株価が期待(金融相場)ではなく実績(業績相場)で支えられているなら、調整からの戻りも底堅くなりやすい。ここは前向きに評価できる材料だと考えます。

先日、私はAI時代に「なくならない仕事」としてブルーカラーの活気を取り上げましたが、実体経済の底堅さという意味では、こうした雇用や設備投資の強さも、業績相場を下支えする一枚のピースになります。相場は株価だけを見ていても半分しか見えません。

もっとも、秋の高値再トライには米国の金利や為替という「天気」次第の部分が大きく残ります。私は過度な楽観にも悲観にも傾かず、業績という羅針盤を頼りに、物色の広がりを一歩引いて観測していきたいと思います。