日経平均株価が6月の高値から大きく水準を切り下げた、と東洋経済オンラインが報じています。高市政権発足以降の歴史的な高騰から一転、いまは「転換点」として語られる局面です。株を持っていない方にも、円相場や金利を通じて家計に響く話なので、少し立ち止まって整理しておきます。
参照した記事はこちらです(東洋経済オンライン: https://toyokeizai.net/articles/-/952909 )。
何が「転換点」なのか
記事が挙げている論点は、政権支持率と金利動向という2つのリスクです。私なりに言い換えると、これまで株価を押し上げてきた「期待」という追い風が、少しずつ向きを変え始めた、ということだと受け止めています。
新政権が発足すると、株式市場はまず「政策への期待」を先に買います。ご祝儀相場という言葉があるように、これは日本の政治史で繰り返されてきたパターンです。ただ期待は前借りである以上、いずれ現実の政策実行や支持率という「答え合わせ」が待っています。高値からの下落は、その答え合わせが始まった合図と見るのが自然でしょう。
もう一つの金利は、より構造的です。金利が上がると、企業の借入コストが増え、将来の利益を今の価値に割り引く「ものさし」が厳しくなります。特に、成長期待で買われていた銘柄ほど、金利上昇の逆風を受けやすい傾向があります。
慎重派として意識したいこと
ここで一つ、天気にたとえておきます。高値から1万円という下落幅は、数字だけ見ると嵐のようですが、その前の上昇が急だった分、揺り戻しも大きくなりやすいものです。急に晴れた後は、雲も急に湧く。相場の振れ幅(ボラティリティ)が大きい局面では、値動きの大きさそのものに驚かないことが大切だと考えています。
記事は具体的な相場テーマと銘柄を挙げていますが、当ブログの方針として個別銘柄の売買はおすすめしません。私が注目しているのは、政局と金利という2つの変数のうち、どちらが主役になるかで意識される物色対象が変わる、という点です。金利が主役なら金融関連、政策期待が主役なら財政出動に関わる分野、といった具合に、市場は物語を求めて動きます。
へえ、と思う歴史の話
ひとつ豆知識を。日本の株式市場では、新政権発足からの株高が「必ず続く」わけではないことが、過去のデータからうかがえます。発足直後に沸いた相場が、半年〜1年で支持率とともに息切れした例は珍しくありません。つまり「政権発足=ずっと上昇」ではなく、政策の中身と実行力が問われる局面が必ず来る、ということです。
以前の記事で「なくならない仕事」としてブルーカラーやAIの話に触れましたが、あの時のテーマは長期の構造変化でした。今回の下落はそれとは対照的に、短期の期待の巻き戻しです。長期の潮流と短期の波は分けて見る——これが調整局面での私の航海術です。