4日の米国市場は大幅続伸となりました。背景にあるのは、イランをめぐる和平合意への期待と、好調な企業決算という二つの追い風です。地政学と業績、性質の異なる二つの材料が同じ方向に効いた点が、この日の相場を理解する鍵になります。

出典は株探(https://kabutan.jp/ )の米国市場ダイジェストです。具体的な数値は概要段階のため、ここでは確実な流れだけを事実として扱い、あとは私の解釈として書き進めます。

地政学リスクの後退は「引き算」の材料

和平合意への期待という材料は、少し変わった性質を持っています。企業決算が「プラスを積み上げる」足し算の材料だとすれば、地政学リスクの後退は、もともと相場に織り込まれていた不安という「マイナスを取り除く」引き算の材料です。

へえ、と思っていただきたい豆知識を一つ。中東情勢と株価の関係でよく語られるのが原油です。1973年の第4次中東戦争に端を発したオイルショックでは原油価格が数倍に跳ね上がり、世界の株式市場を直撃しました。以来、投資家は中東の緊張を「エネルギー価格経由で企業コストと物価に波及するリスク」として警戒し続けています。だからこそ緊張が和らぐという報道は、原油や物価への不安を一段引き下げ、株式にとって追い風になりやすいのです。

ただ、引き算の材料には弱点があります。合意が実際にまとまるか、まとまっても持続するかが不透明なうちは、期待だけが先行しやすい。期待で買われた分は、実現が遅れれば同じ幅だけはがれ落ちる可能性がある、と私は見ています。

決算という「足し算」がどこまで支えるか

もう一つの支えである企業決算は、より確かな材料です。数字という事実に基づくため、期待先行の地政学材料よりも相場の土台になりやすい。今回の続伸が地政学頼みなのか、それとも決算という実需に裏打ちされているのかで、上昇の持続力はかなり変わってきます。

先日、私はAIの台頭で「ずっとなくならない仕事」とされるブルーカラー職が就活市場で活気づいている、という記事に触れました。あのときも申し上げたように、いま相場を動かしているのは短期の思惑だけでなく、産業構造そのものの変化です。決算シーズンは、その構造変化が実際に企業の利益として現れているかを確かめる、いわば答え合わせの季節でもあります。

二枚看板の相場は足元をよく見て

地政学の追い風は、天気でいえば急に晴れ間が広がるようなもので、心地よい半面、また雲が戻ることもあります。決算の追い風は、地面をならしていくような地道な材料です。今日の続伸は両方が重なった好条件でしたが、条件が良いときほど、どちらが本当の推進力なのかを冷静に見極めたいところです。煽らず、盛らず、足元をよく見て進みましょう。