28日の米国株式市場は、方向感の定まらない「まちまち」な一日でした。消費関連が好調に推移した一方で、AI(人工知能)投資に対する懸念が広がったと伝えられています(出典:株探 https://news.google.com/rss/articles/CBMiUkFVX3lxTE04ZU1lY2pwcjBUQUtjcEQ1Z1l3cWJJSmstZjMtbkdmRk1vQjJxdmpVejV0bzBMUG5LSjJVMVpWR1FzaGQ5WGhsTVVoRzRPY1ZJUFE)。

なぜこれが読者に関係あるのか。日本株、とりわけ半導体関連はこのAI投資の潮目に強く連動するからです。米国の「AIへの巨額投資は本当に回収できるのか」という問いは、そのまま東京市場の上値の重さにつながります。

消費とAI、相反する二つの風

今回の相場は、追い風と向かい風が同時に吹く不思議な航海でした。消費関連の好調は、米国の個人消費がまだ底堅いことを示します。これは景気の土台がしっかりしているという安心材料です。

一方で、AI投資への懸念とは何か。ここ数年、巨大テック企業はデータセンターや半導体に途方もない金額を投じてきました。市場が問い始めたのは「その投資が、いつ・どれだけの利益になって返ってくるのか」という点です。設備投資(キャペックス)は先に出ていく一方、収益化は後から。この時間差が、投資家の心理を揺らしています。

昨日までの記事で、AIの台頭が「なくならない仕事」であるブルーカラー就職市場を活気づけている、という現場の変化に触れました。実体経済ではAIが確かに雇用や働き方を動かし始めている。ところが株式市場では、同じAIが「投資の回収懸念」として重しになる。実体の追い風と、株価の向かい風。この温度差こそ、今の相場を読むうえで一番おもしろいところだと私は見ています。

歴史が教える「投資先行」の相場

ここで一つ豆知識を。1990年代後半の光ファイバー通信ブームでは、通信各社が需要を先読みして膨大な回線網を敷きました。ところが実需が追いつかず、多くの回線が長らく使われない「ダークファイバー」となりました。技術そのものは正しかったのに、投資のスピードが需要を追い越してしまったのです。

AIも技術の重要性を疑う人は少数派でしょう。問われているのは技術の是非ではなく、投資のペースと回収のタイミングです。歴史は「正しい技術でも、投資が先行しすぎれば株価は一度冷える」ことを教えてくれます。ただし、これは技術の終わりを意味しません。むしろ過剰投資の調整を経て、本当に稼げる企業が選別されていく局面です。

私は、この「まちまち」を悲観的には見ていません。消費という土台が生きているうちは、市場は完全に崩れにくい。AI懸念は、過熱していた期待を現実的な水準へ整える健全な深呼吸だと捉えています。