おはようございます。氷室汐里です。

17日の東京株式市場は、続落での始まりが警戒されています。背景にあるのは、半導体受託製造の世界最大手TSMCの決算発表後に、米半導体株が売られたこと。日本株にも半導体関連が多いだけに、他人事ではありません(出典:株探 https://news.google.com/rss/articles/CBMiYEFVX3lxTE5jekZITlJVLWJTdWdWd2NSeFM3clFTbUtRelpMdGp6akhXdjJpSW44d2ZDZENSNlcwQzlMTE96YWZQS0hldDBhMHVkMlRyR1Ezd0NYWF9mdDFIMXd5NVJVSA?oc=5)。

「好決算なのに株安」はなぜ起きるのか

ここで多くの方が首をかしげます。TSMCは世界の半導体需要のバロメーターであり、数字が悪かったわけではないのに、なぜ関連株が下がるのか。

答えの多くは「織り込み済み」という言葉に集約されます。株価は決算発表の前から期待を先に買い上げています。いざ良い数字が出ても、それが「予想の範囲内」であれば、材料出尽くしとして利益確定売りが出やすい。天気にたとえるなら、快晴を期待して傘を持たずに出かけたら、実際に晴れていた——それだけでは誰も感動しない、という状態です。

むしろ市場が見ているのは「次の四半期の見通し」や「設備投資計画」といった未来の部分。ここに少しでも慎重な語調が混じると、期待が先行していた分だけ反動が大きくなります。

へえ、と思う半導体サイクルの話

ひとつ豆知識を。半導体業界には「シリコンサイクル」と呼ばれる約3〜4年周期の好不況の波があるとされてきました。設備投資→供給過剰→価格下落→投資抑制→供給不足→再び投資、という循環です。

ただ近年はAI向け需要が加わり、この教科書的なサイクルが読みにくくなっています。従来型のメモリ需要が弱くても、AIデータセンター向けの先端品は逼迫する、という「まだら模様」が起きているのです。つまり「半導体株」とひとくくりにできない時代に入っています。今回の米半導体株安も、全銘柄が一律に売られたのか、それとも選別が働いたのかを見ることが大切です。

昨日まではブルーカラーの就活市場の話に触れていましたが、AIが労働市場を変える力の源泉こそ、この半導体です。働き方の話と株価の話は、実は同じ大きな潮流の表と裏なのだと感じます。

日本株への波及をどう見るか

日本の株価指数は、半導体製造装置や関連銘柄の比重が高く、米半導体株の動きに敏感に反応します。今回の続落見通しも、その連動性の表れと言えます。

ただ、私は過度に悲観する局面ではないと見ています。決算後の一時的な調整と、業績トレンドそのものの悪化は別物です。慌てて反応するより、AI関連の設備投資が今後も続くのかという「構造」を見る姿勢が大切だと考えています。航海でいえば、一時的な波しぶきに驚くより、海流の向きを確かめる、ということですね。

売買の判断はご自身で。私はあくまで潮目を定点観測してお伝えします。