9日の東京株式市場で、日経平均株価が一時1600円以上値上がりしました。このところ売られていたAIや半導体関連の銘柄に買い戻しが入ったのが主な理由です(出典:NHKニュース(経済) https://news.web.nhk/newsweb/na/na-k10015172501000)。
下げの後の急反発は、投資している方はもちろん、そうでない方にとっても「相場の空気」が変わる節目になり得ます。今日はこの反発を、煽らず・盛らず、慎重に読み解いていきます。
「買い戻し」は上昇とは少し違う
まず押さえておきたいのは、今回の動きが「買い戻し」と表現されている点です。買い戻しとは、下がると見て売っていた投資家が、想定以上に反発したため損失を防ごうと慌てて買い直す動きを指します。新規の強気資金が入る「順張りの上昇」とは性質が異なります。
航海にたとえるなら、向かい風で後退していた船が、風がふと止んだ瞬間に反動で前に進むようなもの。追い風に変わったのか、単に一息ついただけなのかは、もう少し海を眺めないと分かりません。急反発ほど、その持続力を冷静に見極めたいところです。
半導体・AIが振り子の中心にある理由
ここ数年、日本株の値動きの中心には常に半導体とAI関連が座っています。世界的にAI投資への期待と警戒が交互に押し寄せ、そのたびに関連銘柄が大きく振れる。日経平均の日々の上下は、この一群の株の気分に強く左右されているのが実情です。
へえ、と思っていただきたい豆知識を一つ。日経平均は225銘柄の「株価そのもの」を合計して計算する株価平均型の指数で、時価総額の大きさではなく値がさ株(1株あたりの株価が高い銘柄)の影響を受けやすい設計です。半導体関連には値がさ株が多いため、少数の銘柄の動きだけで指数が数百円単位で動くことがあります。「1600円高」という数字の迫力ほど、市場全体が一様に上がっているとは限らない、という視点は持っておきたいものです。
先日、AI時代でも「なくならない仕事」としてブルーカラーの人気が高まっている話題に触れましたが、AIへの期待は労働市場から株式市場まで幅広く波及しています。その期待の大きさゆえに、株価の振れ幅も大きくなりやすいのだと感じます。
慎重に見たい「反発の質」
下げ相場での急反発は、しばしば一時的な戻りにとどまることがあります。大切なのは反発の「質」で、翌日以降も上値を保てるか、それとも再び売りに押されるかで意味合いが変わります。今日の大幅高だけで方向感を決めつけるのは早計だと、私は見ています。特定の銘柄を推奨する立場ではありませんが、半導体・AI関連が引き続き相場のカギを握る材料として意識されそうです。